衰弱死した1歳児、保育所では「食欲が異常、他の園児の3倍食べていた」

2018年6月27日 10時08分
 岩手県北上市で4月、1歳9か月の男児が十分な食事を与えられずに死亡した事件で、保護責任者遺棄致死容疑で逮捕された父親の解体作業員高舘拳容疑者(25)が、子どもを放置した理由を「遊びや仕事を優先してしまった」と供述していることが、捜査関係者への取材で分かった。「パン1食しか与えない日もあった」とも供述。盛岡地検は26日、高舘容疑者を保護責任者遺棄致死罪で盛岡地裁に起訴した。

 捜査関係者などによると、高舘容疑者は2月に妻と別居し、長男の優人ちゃんと2人で生活。3月30日まで市内の認可外保育所に預けていたが、その後、優人ちゃんが死亡する4月8日までは自宅に放置し、友人と遊びに行ったり、仕事に出かけたりしていた。

 司法解剖の結果、優人ちゃんは午後6時頃に死亡。数日間、食事をほとんど与えられていなかったとみられ、痩せ細っていた。保育所では3月時点で体重が10キロほどだったが、死亡時は8キロと、2歳男児の平均より4キロも軽かった。高舘容疑者は、コンビニ店で買ったパンだけ与えた日もあったと供述している。

 育児放棄保育所に通わせていた時期から続いていたとみられ、園長は「保育所が長期休みになるお盆や大型連休の後は痩せていた。食欲が異常で、他の園児の3倍は食べていた」と話す。優人ちゃんは最後に保育所に預けられた3月30日、迎えに来た高舘容疑者の体をたたき、帰りたくないと訴えているようだったという。

 一方、3年前から勤めていた高舘容疑者の勤務先の上司は「『病院に連れていく』『熱が出た』と急に仕事を休むことが多く、子育てを頑張っていると思っていた。仕事ぶりは真面目だった」と話した。

http://yomiuri.co.jp/national/20180627-OYT1T50009.html