首相の集会で手りゅう弾爆発、1人死亡 154人負傷

http://www.afpbb.com/articles/-/3179751

エチオピア首相の集会で手りゅう弾爆発、1人死亡 154人負傷
2018年6月24日 12:16 
発信地:アディスアベバ/エチオピア [ エチオピア アフリカ ]

【6月24日 AFP】エチオピアの首都アディスアベバのマスカル広場(Meskel Square)で23日、アビー・アハメド(Abiy Ahmed)首相が演説した直後に手りゅう弾が爆発し、保健相によると1人が死亡、154人が負傷した。

 現場のAFP記者によると首相就任後初めて首都で大規模な集会に参加したアビー氏が演説を終えた直後に爆発が起きた。パニックになった大勢の支持者が逃げまどう事態となった。

 アビー首相は事件後に国営テレビで爆発は集会の妨害を狙って複数の集団が画策したものだと述べたが、集団を名指しすることはなかった。アミル・アマン(Amir Aman)保健相はツイッターTwitter)で死者1人、負傷者154人と発表したが、詳細は明らかにしなかった。

 集会の主催者セイヨム・テショメ(Seyoum Teshome)氏は、アビー首相が座った瞬間に誰かが手りゅう弾を投げ込もうとして小競り合いになったのがステージから見えたとAFPに語った。同氏は「4人かそれ以上の警官が手りゅう弾を持った男に飛びついて小競り合いになった時に爆発が起きた」「負傷者は爆発よりもその場から逃げ出そうとした人々が押し合って倒れたことによる」と述べた。

 ステージには100人以上が殺到し、警察に対してものを投げ付け「ウォヤネは降りろ」「ウォヤネは泥棒だ」などと叫んで与党に抗議した。ウォヤネとは与党エチオピア人民革命民主戦線(EPRDF)を侮辱する呼び方。

 アビー首相はハイレマリアム・デサレン(Hailemariam Desalegn)元首相の後任として4月に就任した。デサレン氏は2015年に始まった同国の2つの有力民族が主導する反政府運動が激化したことを受け、今年2月に辞任した。反政府運動では数百人の死者が出ている。

■対立するエリトリアの駐日大使も事件を非難

 議会の全議席を与党EPRDFおよび与党系議員が占めているエチオピアでこれほど大きな政治集会が行われたのは珍しい。会場にはアビー首相への支持をうたったTシャツを着ている人たちがいた一方、オロモ解放戦線(OLF)といった非合法組織の旗を公然と掲げる人もいた。通常このような行為をすれば逮捕される。

 アビー首相が立ち去った後、群衆がステージにあったエチオピア国旗を取り去り、EPRDFの対抗勢力の間で人気のある古い国旗を掲げ「私たちが欲しい旗はこれだ」とシュプレヒコールを上げた。

 与党EPRDF内部でアビー首相がどの程度支持されているのか定かではないが、アビー首相はこれまで国内の政治勢力のバランスに大きな変化をもたらす行動を起こしてきた。アビー首相の改革を受けて一部の反政府勢力は政権との和解に動いた。

 反政府勢力「ギンボット7(Ginbot 7)」は22日、アビー首相の改革を理由に挙げてエチオピア国内での武力による攻撃を停止すると発表した。ギンボット7の幹部アンダルガチュー・ツェゲ(Andargachew Tsige )氏は今年5月に釈放されていた。

 米国やジブチなどエチオピアの同盟国は今回の事件を非難した。さらにエチオピアと対立しているエリトリアエスティファノス・アフォワキ(Estifano Afeworki)駐日大使も「エリトリアは、本日アディスアベバの平和のための集会で発生した、暴力を煽ろうとする試みを強く非難する。このようなことはエチオピアの歴史で初めてのことだ」とツイッターTwitter)に書き込み、驚きをもって受け止められた。(c)AFP/Chris Stein