白昼銃声、緊迫の小学校 下校見合わせ体育館で待機…児童に「先生はみんなを守る」

2018年6月27日7時12分 朝日新聞デジタル
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事件当時の状況を説明する奥田小学校の飯野義明校長(左端)ら=2018年6月26日、富山市奥田双葉町、南有紀撮影

 富山市中心部の住宅街で26日午後、銃声が響いた。交番の警察官を襲って拳銃を強奪した男は、近くの小学校の警備員に発砲したとされ、警察官と警備員が死亡。男も校内で別の警察官に撃たれて重体とみられている。白昼の銃撃に、住民や児童の保護者らの間に衝撃が走った。

 「このような痛ましい事件が発生し、大変遺憾で、あってはならないことだ」。26日午後6時、奥田小の理科室に集まった報道陣を前に飯野義明校長はこわばった表情で語った。

 校内に緊張が走ったのはその4時間ほど前だった。刃物を持った男が交番付近を逃走中――。学校にそんな知らせが入った。校舎1階の戸締まりを徹底し、下校も見合わせた。

 その直後、校内の前庭付近に不審者と倒れている人を確認し、警察と消防に通報。男性の教職員は「さすまた」を持って警戒にあたった。ただ、校長は男が拳銃を持っていたことまでは知らなかった。

 当時校内には、校外学習だった4年生を除き、児童約400人がいた。児童は前庭を避けて教室から体育館に移動。「先生はみんなを守る」と伝え、児童は落ち着いた様子で待機していた。

 警察から身柄確保の連絡を受け、保護者にメールなどで引き渡しによる下校を伝えた。

 学校は耐震化の工事中だった。亡くなった中村信一さん(68)は4月から工事車両などの警備にあたっていた。「保護者の車の送迎も誘導し、子どもたちにも声をかけてくれていた。職員とも声を交わす間柄だった」と肩を落とした。

 27日は休校にし、5年生の宿泊学習は延期する。校長は「不安を感じる児童のケアが必要であれば、市の支援を受けたい」と語った。

 学校近くに住む男性(41)は1年生の娘と6年生の息子が通う。パトカーのサイレンで外に出ると、学校前に集まる警察官を見た。まもなく「パンパン」という発砲音を聞いた。学校からはまず、「子どもたちは体育館にいる。しばらく待ってください」と電話があった。その後、「午後4時から引き渡します」との連絡を受け、迎えに行った。「心配した。こんな事件が起きるなんて思いもしなかった。警備員の方は優しい人で、よくあいさつを交わしました」と話した。

 娘が通う40代女性は、午後2時50分に学校から「敷地内に不審者が侵入しました」というメールを受け取った。その後、午後4時ごろのメールで「不審者が確保されました。全員無事」と伝えられた。「下校が(事件の)時間と重なっていたらどうなっていたかわからない」と話した。

 午後5時過ぎに1年生の息子を迎えに来た40代女性は「(2001年に起きた)大阪教育大付属池田小の(児童殺傷)事件を思い出した。警備員の方が亡くなられたと聞いたが、(子どもたち)みんなを守ってくれて感謝しています。ニュースで発砲事件と知り、びっくりした」と涙ながらに語った。

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